緊急避妊薬の試験的運用に反対し、早期OTC化に関する要望

緊急避妊薬のスイッチOTC化に係る検討会議(以下、検討会議)の方針は、パブリックコメントを尊重しておらず疑問が残るものです。

我々は、すべての女性が緊急避妊薬にアクセスでき、かつ安全に使用できるよう、現場で女性を支援する団体として、緊急避妊薬の試験的運用に反対し、早期OTC化を求めます。

試験的運用が必要であるというのであれば、下記2点への丁寧な説明を求めます。

1.試験的運用の目的と必要性について
 試験的運用で何を検証するのか、目的が不明確です。海外90ヵ国以上で処方箋なしに薬局で購入できる安全性の高い薬について、なぜ日本で試験的運用を行う必要があるのでしょうか。試験的運用期間中の使用者の多寡でスイッチOTC化すべきかどうかが決まるのでしょうか。

「悪用や濫用の懸念がある」という言説についても、その中身をよく考えるべきです。何を以て悪用・濫用なのでしょうか。具体的にどのようなことが起こると想定しているのでしょうか。そしてそれは薬物乱用の定義に当てはまるのでしょうか。

性暴力への対応についても、学校や地域で運用されているガイドラインやマニュアルに則って薬局でも対応するべきであり、試験的運用で特別な対応を生み出す必要はありません。性暴力対応の専門家ではない薬剤師が、学校や地域で行っていること以上の対応をしようと試験的運用を検討しているのならば、セカンドレイプにつながる可能性があり、二次被害によるトラウマにつながります。 

2.試験的運用で生じる女性の健康格差について
 試験的運用を行うことで、緊急避妊薬のアクセスに偏りが生じます。それは女性の健康の格差を生み出すということです。それでも試験的運用を行って検証しなければならないこととは一体何なのでしょうか。緊急避妊薬スイッチOTC化は地域の女性のアクセスを良くすることが最大の目的です。 次のステップへ進むことで議論は前進します。この検討会議で踏みとどまらないことを願います。 

 一方で、我々は、試験的運用についての議論は、検討会議で検討すべき内容を逸脱していると考えます。パブリックコメント実施後のステップが決まっているにもかかわらず、それを行わず試験的運用についての検討が始まってしまいました。検討会議にて委員から「試験的な運用」について発言があったことがきかっけです。これは本来の検討会議と委員の役割を逸脱していると思います。4万6,000件以上のパブリックコメントが集まったなか、当事者のいない患者団体の言葉ひとつで方針が決まってよいのでしょうか。緊急避妊薬を求めるのは若者だけでなく、30代40代も使用します。誰のための薬なのか、なぜ国民が必要としているのか、背景もしっかり踏まえて今後について検討してください。厚生労働省がパブリックコメントについて、とても丁寧にまとめています。委員はそれをしっかりと読み、国民が何を訴えているのかを理解したうえで発言してください。

以上

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